クールな次期社長の甘い密約
「いいか? こんな事言うのはなんだが、俺は金を出して手に入るモノなら他人を頼るなんて事はしない」
「えっ、そうなんですか?」
「そう、金を出しても手に入らないモノだから欲しくて堪らないんだ」
「あ、じゃあ、専務の欲しいモノって……」
身を屈め首を傾げると専務の手が伸びてきて私の指を絡める。するとそのまま引っ張られ、無防備だった体は勢いよく専務の胸の中に堕ちていく。
彼は私を難なく受け止め、まるで幼子をあやす様に背中をポンポン叩くと「俺が一番欲しいモノ、それは……この、ど天然なお嬢さんだ」って言ったんだ。
やっと専務の真意を理解したのと同時に鈍感な自分が恥ずかしくなり、この場から逃げ出したい気分になる。
「茉耶ちんと一緒に居ると仕事のストレスも全部忘れて腹の底から笑えるんだ。君は俺の精神安定剤みたいな存在なんだよ」
優しく囁く様な声で、しみじみと呟いた専務が私の髪を掻き上げる。
「ご褒美……くれるよね?」
甘く熱っぽい吐息と共に発せられた彼のおねだりの言葉に鼓動が早くなり、頬が燃える様に熱くなるのを感じた。
専務を拒む理由などない……
「……はい」
私達はどちらからともなく唇を寄せ、お互いの気持ちを確かめる様にキスを交わす。でも、このままベットに入るのは抵抗があった。
「あの、シャワー浴びてもいいですか?」
彼に抱かれる決心はしたものの、少しだけ心の準備をする時間が欲しかったんだ。