クールな次期社長の甘い密約

「倉田? あぁ、アイツは俺が一番、信頼してる男だ。倉田が優秀な秘書だって事は茉耶ちんも知ってるだろ?」

「え、えぇ……まぁ……」


やっぱり専務は倉田さんをこれっぽっちも疑ってない。それならと倉田さんが一度、津島物産を退職して再び入社した理由を知っているかと聞いてみた。


「それは、倉田が社会人になって働き出した時、自分がいかに無知で無能だったかを思い知らされ、再び学び直そうと思ったからだと聞いてるが?」

「それ、本当でしょうか? 何か良からぬ事を企んでるって事はないのでしょうか?」


体を起こし真剣に聞いてみたけど、専務は私の疑問を豪快に笑い飛ばす。


「おいおい、あの倉田が何を企んでるって言うんだ? 寝る前にあまり笑わせないでくれよ。眠れなくなるじゃないか」

「すみません……じゃあ、どうして専務と倉田さんは一緒に住んでいるのですか?」


専務は「なんだか質問攻めだな」って呟き、苦笑いを浮かべる。


「アイツが以前住んでいた所が会社から結構離れていて、急用で呼んでも来るのに時間が掛かっていたんだ。

で、引っ越すって話しになったんだが、それならいっそ俺のマンションに来ればいいんじゃないかって思ったんだよ。あの部屋は一人じゃ広過ぎるからな」


同居を希望したのは専務だったんだ……もしかしたら倉田さんが強引に押しかけて専務を失脚させる為のネタを手に入れようとしてるんじゃないかと思ったけど、私の考え過ぎだったみたい。


良かった……


安心したら急に体の力が抜け瞼が自然に閉じていく。私は愛しい専務の腕の中で微睡みながら、ゆっくり眠りに落ちていった――

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