クールな次期社長の甘い密約
笑って誤魔化そうと思ったけど、専務の名誉の為にも真実を言った方がいいのかなって迷う。
森山先輩は私達の事を知ってるし、ま、いいか……それに、専務の事を話せるのは先輩と麗美さんだけだもんな。
で、事情を知った森山先輩の反応は――「ぶっ! 直前に生理になった? 大沢さんらしいわね。てか、専務お気の毒に~」
ケラケラ笑っていた森山先輩だったが、私達がまだそういう関係じゃないと知るとデスクを叩いて大絶叫する。
「えぇ~っ! まだエッチしてないですって? それマジ? 有り得ないんだけど!」
「あ、有り得ませんか?」
「当たり前じゃない。何もなくてどうやって専務を落としたのよ? アナタ、どんな技使ったの? それ教えなさいよ」
立ち上がって怒鳴る森山先輩を出社してきた社員の人達が何度も振り返り眺めている。これはイケナイと思い無理やり先輩を座らせ、技など何もない。私が怖くてデキなかっただけだと説明した。
ようやく落ち着いた森山先輩が「あの専務が我慢したなんて信じられない……」と呟き、半開きの目で宙を見つめている。そして独り言みたいにボソッと呟いたんだ。
「それって、専務は本気で大沢さんの事が好きって事よね。アナタを大切に想っているから無理強いはしなかった……これは、間違いなく本物ね」
森山先輩の言葉が胸に染み渡り、この上ない幸せを感じる。なので、調子に乗って先輩の宿敵である木村さんの前で専務が自分の彼女は私だと宣言したって事も喋ってしまった。