クールな次期社長の甘い密約

その話しを聞いた先輩がカッと目を見開き、何かに憑りつかれた様な気味の悪い顔で笑う。


「よし! 大沢、よくやった! 今度、飲みに連れてってあげる」

「は、はぁ、有難う御座います」

「あぁ~今日は朝から気分がいいわ~」


その後の先輩は超ご機嫌で、鼻歌混じりに役職者の予定をパソコンに打ち込んでいたんだけど、突然何かを思い出した様に顔を上げる。


「でもさ、木村が専務に振られた事を根に持って倉田課長側に付いたら厄介だよね」

「あ、その事なんですが、例のあの噂はデマではないかと……倉田さんに怪しいところはありませんし、もし不審な動きをしたら専務が気付くはずです」


しかし、森山先輩は顔の前で人差し指を左右に振り、私の言葉をバッサリ切り捨てる。


「甘いわね。私、昨日、人事部の男性社員と合コンしたんだけど、その時に聞いたのよ。専務が海外出張に行ってる間に倉田課長が頻繁に常務と会っていたって」


常務と言えば、いつか社食でランチをご馳走してくれた優しいなおじさんの事だよね。


「それが何か?」

「もう! 鈍感ねぇ~専務と常務は次期社長の座を争っているライバルじゃない。二人は犬猿の仲。なのに常務と倉田課長が頻繁に会ってるっておかしくない?

それに、二人が会ってるところに人事部の部長と社長秘書も同席してたって話しよ。これは何かあるわね」


森山先輩は探偵よろしく自信満々に自分の推理を話し出す。


で、その内容はというのは――……

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