クールな次期社長の甘い密約

倉田さんは自分が社長になれなかった時の事も予想し、常務を利用する事にした。とにかく専務が社長になる事だけは阻止したいと思っていて、その為に常務に接近したんだと。


そして、常務が社長になった暁には自分を引き上げてもらおうと企み、その交換条件として専務側の情報をリークしているんじゃないか……というのが森山先輩の推理だ。


うん、確かに企業ドラマならよくあるストーリーだよね。でも、あの倉田さんがそんな事するかなぁ~


「それと、大沢さんは専務が倉田課長を信頼してるって言うけど、怪しい所なんて見せるワケないじゃない。優秀で従順な秘書だと見せかけて腹の中では専務を蹴落とすチャンスを窺っているのよ」

「……復讐の為に?」

「そう、亡くなった家族の無念を晴らす事が生き残った自分の使命だと思っているのかもね」


目をギラつかせ熱く語る森山先輩がヤバい人に見えてきた。


「あの、せっかく素晴らしい推理を聞かせてもらってなんなんですが、私は別の疑いを持ってまして……」

「何? 言いなさいよ」

「はい、実は……」


一つ大きな深呼吸をして、倉田さんが専務に恋愛感情を持っているのではないかと言うと先輩は顔を引きつらせ、椅子からずり落ちそうになる。


「アナタ、それ本気で言ってるの?」

「はい、今の時代、特に珍しい事じゃないですし、倉田さんを見てると専務に対する愛情をヒシヒシと感じるんです。あれは正しく純愛。それ以外の何モノでもありません」


真剣に訴えるが、先輩は顔半分をヒク付かせ、冷めた視線を私に向ける。


「大沢さん、アナタ、バッカじゃないの?」

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