クールな次期社長の甘い密約

「……――ってワケなんですよ」


昼休みになり、私は麗美さんと社食でランチをしながら森山探偵の推理について麗美さんの意見を聞いていた。


森山先輩には決して他言はするなと言われたけど、私一人じゃ判断出来ない。秘書課の麗美さんなら何か知っているんじゃないかと思ったんだ。


「ちょっと待ってよ~それじゃあ倉田課長が完全に悪者じゃない!」


倉田さんの事が好きな麗美さんはご立腹で、Aランチの白身魚フライに割り箸をぶっ刺し眉を吊り上げている。


「私も、それはないと思ったんですけどね」


大きく頷き同意したのだけど、急に麗美さんの表情がどんより沈んでいく。


「あ……でも、常務室に倉田課長……来てた」

「えっ?」

「そうだよ……今まで倉田課長が常務室に来る事なんてなかったのに、専務が出張行ってる間、少なくても三回、常務室に来てたよ」


私達は顔を見合わせ暫し沈黙。


「で、でも、たまたまかもしれないし……それだけで倉田さんが専務を裏切ってるとは言えませんよね?」

「いや、火のない所に煙は立たないって言うしね。とにかく倉田課長の事、調べてみるよ」


私は麗美さんに完全否定してもらいたかったのに、なんだか妙な展開になってきた。


麗美さんは「任せといて!」って胸を叩き、割り箸でぶっ刺した白身魚フライを口にねじ込むと突然話題を変える。


「実はさ、私も茉耶ちんに話しがあったんだ」

「私に、なんですか?」

「うん、茉耶ちんさぁ、研修中に言ってたでしょ? 自分は縁故枠で採用されたって」

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