クールな次期社長の甘い密約
「はい、地元の議員の人に頼んで紹介されたのが、この津島物産だったんです」
「あぁ~やっぱり、それだよ!」
「それとは?」
麗美さんは納得した顔で大きく頷いているけど、私は彼女が何を言いたいのか分からず困惑気味。
「これはね、秘書課の先輩達が言ってた事なんだけど……」
もったいぶる様にゆっくり味噌汁を飲み干し、静かに手を合わせた麗美さんが言うには――……
今年の縁故枠で採用された新入社員の中に、大物代議士の紹介で入社した人が居たらしい。その代議士に津島物産は毎年献金していて、何やら深い繋がりがあるそうだ。
「その代議士、どうも時期社長の人事にも影響力がある人物みたいだよ」
「ふーん……でも、それが私とどういう関係があるのですか?」
「だからぁ~その大物代議士の紹介で入社したのが茉耶ちんじゃないのかなって思ったワケよ!
きっと、ウチの会社の方がその代議士に気を使って茉耶ちんを会社の顔である受付に配属したんだって! そういう理由だったから野暮ったい容姿でも受付から異動にならずに済んだんじゃない?
茉耶ちんは特別扱いなんだよ。どう? 私の推理、完璧でしょ?」
ここにももう一人、探偵が居た。
「あ、あはは……」
ドヤ顔の麗美さんには悪いが、恐らく……いや、絶対にそれはない。
「あのね、麗美さん、私の親が頼んだのは、そんな大物代議士じゃなくて地元の町会議員だよ」
「えっ……町会議員?」
「そう、だから私は特別扱いでもなんでもないの。ただの一社員です」
自分の推理がハズれ残念そうに爪を噛む麗美さんに笑顔を向けると私も静かに手を合わせた。