クールな次期社長の甘い密約
――それから三日後の朝……
出社時間が過ぎ、人影まばらなエントランスに恰幅のいい男性が現れた。男性の後ろには二人の若い男性がピッタリくっ付いている。
今日初めての来客に素早く立ち上がると森山先輩が嫌味のない爽やかな笑顔で男性に向かって一礼した。
「宮川(みやがわ)先生、おはよう御座います」
「常務は居るかね?」
「はい、宮川先生がお見えになりましたら、すぐにご案内するよう言われております。どうぞこちらに……」
どうやらこの先生と呼ばれているおデブの男性はビップ扱いの様だ。
森山先輩が変わらぬ笑顔で役員専用のエレベーターホールへ案内しようとした時、振り返った宮川先生が私を指差す。
「案内はこの人にお願いするよ」
「あ、しかし、その者はまだ新人で……何か失礼があってはいけませんので……」
しかし、宮川先生は森山先輩が話し終わる前に「いいからそうしてくれ」と強い口調で言う。
えっ、なんで私?
「……分かりました。では、大沢さん、宮川先生を常務室までご案内して」
「は、はい」
私が会釈すると宮川先生は小さく頷き、お付きの二人の男性にここで待つようにと声を掛け歩き出した。
慌てて彼の前に立ちエレベーターホールまで来たが、背中に感じる鋭い視線にすっかり動揺してしまい指が震えて最上階のボタンがなかなか押せない。
「どうした? 大丈夫かね?」
「……あぁ、はい、失礼しました……」