クールな次期社長の甘い密約

絶句する倉田さんを見て、図星だなって確信する。が、次の瞬間――……


「アハハハ……わ、私が専務を……愛している? ヒィ~ッ、ブハハハ……」


倉田さんはハンドルを叩きまくり、気が狂った様に哄笑している。そして、とうとうお腹を抱えて助手席に倒れ込んでしまった。


「腹が……捩れそうだ。苦しい。死ぬっ……アハハハ……」


絶対にそうだと思っていたのに、こんなに大ウケするって事は、もしかして違っていたの?


それでも私はまだ半信半疑で笑い続けている倉田さんの様子を窺っていた。すると、少しだけ顔を上げた彼が息も絶え絶え苦しそうに言う。


「大沢さんの頭の中はどうなっているんですか? トンチンカンにも程があります」

「トンチンカンってなんですか? それに、笑い過ぎです。私は倉田さんから専務を奪ってしまったんじゃないかって、申し訳ない気持ちでいっぱいだったんですよ」

「申し訳ない? クックックッ……おめでたい人だ」


思いっきりバカにされ、もう我慢の限界。怒りに任せ、握り締めた拳を振り上げた時だった。後部座席のドアが開き、専務が乗り込んできた。


「なっ、倉田、どうした?」


専務は、倉田さんの凄まじい引き笑いを苦しんでいると勘違いしたらしく、助手席に倒れ込んでいる彼の背中を擦り、何度も大丈夫かと声を掛けている。けれど、笑い過ぎて喋れない倉田さんはプルプル震えるのみ。


驚いた専務が顔面蒼白で私に詰め寄ってくる。


「茉耶ちん、倉田が痙攣している。いったい何があったんだ?」


しかし、イラ付いてた私は倒れている倉田さんを横目に吐き捨てる様に言う。

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