クールな次期社長の甘い密約
自分の耳を疑った。
この人は、何を言っているんだろう……
私に専務の好みの下着まで買い与え、寸前で拒んだと知ると激怒していたくせに……
確かにその後、言い過ぎたと謝ってはくれたけど、だからこそ私は、自分の気持ちを封印して専務に尽くそうとしている倉田さんに同情したんだ。
「……意味不明」
そう呟いた時には玄関のドアは閉まっていて、倉田さんの姿はなかった。
せっかく覚悟を決めてここに来たのに、彼の一言で心が乱れる。でももう引き返す事なんて出来ない。それに、無理してるワケじゃないもの。
「私は専務の事が本当に好きだから……」
ムキになってそう呟くと、迷いを振り切る様に玄関の鍵を閉める。
それから専務と入れ替わりにお風呂に入り、リビングのソファーでテレビを観ながらワインで乾杯。他愛もない話しで盛り上がる。そして、一頻り笑った後、彼の肩にソッと頭を乗せてみた。
すると専務が私の手からワイングラスを奪い取り、まだ少し湿っている髪を指に絡める。
「茉耶……」
心地よく響く専務の低い声が自分の心臓の音と重なり、気持ちが高揚していくのがハッキリ分かった。アルコールのせいで少し大胆になった私は彼の首に腕をまわし、上目遣いでキスをねだる。
「今日はやけに積極的だな」
「ちょっと酔っちゃったかな?」
「ふふふ……そんな茉耶も可愛いよ」
本当は、そんな自分に驚いていた。確かに酔っていたのもあるけど、倉田さんに言われた言葉が引っ掛かっていて気持ちが急いていたのかもしれない。
だって、私は無理なんてしていないもの……