クールな次期社長の甘い密約
あっ、倉田さん、帰って来たんだ。
慌てて床の服と下着を丸めソファーの後ろに投げ捨てるが、彼は私と専務がそういう事になっているってのは百も承知。今更隠す必要なんてなかったんだ。それに、倉田さんは自室に直行するだろ。
そう思っていたら、足音が近付いてきてリビングの扉が静かに開く。
えっ、来ちゃった?
しかし、私より倉田さんの方が驚いたみたいで、奇妙な叫び声を上げ、数歩後ずさる。
「お、大沢さん? 電気も点けずに何してるんですか?」
「あ、なんだか眠れなくて……」
やれやれとため息を付いた倉田さんが気怠そうに歩いてきて体を屈め私の顔を覗き込む。
その瞬間、なんかいつもの倉田さんと違うなって違和感を覚えた。少し警戒していたら、私が飲んでいたワイングラスを手に持ち、それを一気に飲み干す。
「ふぅーっ……久しぶりに浴びるほど飲みましたよ……」
あぁ~倉田さん酔っぱらってるんだ。
更に警戒して彼との距離を取ろうとしたんだけど、酔っぱらいの倉田さんにはそれが気に入らなかったみたいで、私の体を挟み込む様にソファーの背もたれに両手を付き、不機嫌な顔をする。
「ちょっ……倉田さん、やめて下さい」
しかし彼はトロンとした目で私を凝視し「なぜ?」って聞いてきたんだ。
「なぜって……普通、こんな事しないでしょ? 倉田さん、酒癖悪いですよ」
「それ、アナタにだけは言われたくありません」
あぁぁ……確かに……
やらかした経験のある私は、ぐうの音も出ない。