クールな次期社長の甘い密約
「色んな形ねぇ……」
「そうです。専務には言いませんから、私にだけ教えてくれませんか?」
倉田さんが心を開いてくれるよう優しく訴えかける。すると彼はソファーの背もたれに片肘を付き、神妙な面持ちでこちらに視線を向けた。
やっと決心してくれたんだと思い、私も真剣に話しを聞こうとしたのだけど……
「そんなに疑うのでしたら確かめてみますか?」
「確かめる?」
「そうです。私が女性を抱けるかどうかを……」
意味深な笑みを浮かべた倉田さんを見て、なんだか凄く嫌な予感がした。
「それ、どういう意味……」
しかし、その質問を言い終わる前に手首を掴まれ勢いよくソファーに押し倒されたんだ。
専務に抱かれた同じ場所で、他の男の人に同じ事をされるなんて……
大切な聖地を汚された様な気がして無性に腹が立ち、憎しみを込めて倉田さんを睨み付けた。
「……これ以上、何かしたら本当に大声を出します」
しかし倉田さんは全く怯まない。むしろ私より強気で睨み返してくる。
「好きにすればいい。ですが、これだけは言っておきます。私の恋愛対象は、あくまでも女性です。専務を恋愛対象として見た事など一度もありません」
一段と鋭くなった倉田さんの視線に圧倒され、私の怒りはいとも簡単に鳴りを潜めてしまい素直に頷くしかなかった。
「手荒な真似をして申し訳ありませんでした」
いつもの冷静な表情に戻った倉田さんが私から離れていく。そして、立ち上がると何事もなかった様にリビングを出て行ってしまった。