クールな次期社長の甘い密約
倉田さんの事を思って真剣にそう言ったのに「確かに、大きなお世話ですね」なんて言うからカチンときた。
「それがダメなんです! 全然可愛くない」
「可愛いなんて思われたくありませんから」
「もぉ~その一言が人をイヤな気分にさせるんです。どうして分からないんですか?」
ムキになって怒鳴り散らしてハッとした。
私も倉田さんに言いたい放題言ってる。今までの私は目立つのがイヤで、自分の気持ちを押し殺して生きてきた。だから、こんな風に怒鳴ったりした事なかった。
尋常じゃないくらい堅苦しい人なのに、なんだろう……倉田さんと居ると凄く楽というか、素の自分で居られる様な気がする。
それを自覚したら、私は彼に相当失礼な事を言ってきたんじゃないかって心配になってきた。
「あの、倉田さんは、私と居て楽しいですか?」
すると返ってきた答えは「不快ですね」だった。バッサリ切り捨てられ、やっぱりか……と肩を落としたんだけど――
「しかし、それ以上に楽しいです」
「へっ?」
視線を合わせた私達は同時に笑い出す。が、一頻り笑うと倉田さんが真面目な顔でボソッと言った。
「アナタと専務が結婚する事を願っていましたが、実際に結婚するとなると複雑な気持ちです」
「えっ……?」
「何かに執着するなんて事はしない主義でしたから、失う事には慣れていたはずなんですがね。どうやら私にも失いたくないモノが出来た様です」
あ……