クールな次期社長の甘い密約
「じゃあ、そろそろ出ようか」
麗美さんに促され席を立とうとした時、私の後ろから誰かが声を掛けてきた。
「あら~綺麗になった受付嬢と優秀な秘書さんじゃない」
一瞬にして麗美さんの表情が険しくなり、その声に答える事無く立ち上がる。いったい誰だろうと思い振り返るとそこに居たのは、あの宮川先生の姪、大沢真代さんだった。
「なんだ~もうランチ終わり? せっかくだから一緒に食べようと思ったのに……残念」
気持ちが悪いくらい明るい声ですり寄ってくる小沢さんに目もくれず、麗美さんがトレーを持ち歩き出そうとすると――
突然豹変した小沢さんが麗美さんの腕を掴み、社食内に響き渡るくらい大きな声で怒鳴ったんだ。
「話し掛けてんだから返事くらいしたらどう? お高く留まっちゃって、秘書ってそんなに偉いの?」
ほぼ満席状態で賑やかだった室内が静まり返り、時間が止まったみたいに人々の動きも止まる。
私はどうする事も出来ずオロオロするだけ。でも麗美さんは全く動じず、小沢さんを無視して歩き出す。
しかし、小沢さんも諦めない。麗美さんの後を追い社食の出口で再び麗美さんの腕を掴み、さっきより大きな声で怒鳴った。
「秘書課に配属されたからっていい気にならないでよね。私、知ってるのよ。谷本さんの秘密……」
小沢さんの意味深な言葉に麗美さんが初めて反応した。
「私の秘密ですって?」
「そう、アナタ、整形してるんだってね」