クールな次期社長の甘い密約
会長まで私を知ってる様な口ぶりだ……
混乱する私を会長が物凄い形相で凝視している。その目は爛々と輝き、鬼気迫るものがあった。が、すぐに殺気立った視線は優しい眼差しに変わり、どういうワケか涙が溢れ出す。
えっ? 会長、泣いてるの?
シワくちゃな手で顔を覆い背中を震わせる会長。その背中を社長が擦りながら穏やかな口調で言う。
「茉耶さん、父は君と会えた事が嬉しくて泣いているんですよ」
津島物産の会長が私と会えて嬉しいから泣いてるなんて……
「……信じれない」
そう呟き、小さく首を振ると嗚咽を繰り返していた会長が顔を上げ、涙に濡れた顔で私を見つめる。
「大原小隊長が会わせて下さったのかのかもしれんなぁ……長生きして本当に良かった」
「大原……小隊長?」
大原という名前に心当たりがあった。大原は母親の旧姓だ。と言っても、私は母親の実家とは全く交流がなかったから、母親の実家に"大原小隊長"という人が居るかどうかは分からない。
てか、小隊長って何? いつの時代の話しなんだろう?
疑問が次から次へと湧いてきて、自分がここに何をしに来たのかを忘れそうになる。
「あの……その大原小隊長とは、誰の事なんでしょうか?」
勇気を出して尋ねると今まで黙っていた専務が口を開いた。
「大原小隊長とは、茉耶ちんの曾祖父の大原源治(おおはら げんじ)さんの事だよ」
「えっ? 曾祖父って事は、ひいおじいさん?」