クールな次期社長の甘い密約
「これは……」
その正体は、光り輝くダイヤのシルバーリング。
それは、ジュエリーに疎い私でも一目で高価な物だと分かる大きなダイヤだった。繊細にカットされたセンターストーンのフレームにも小ぶりのダイヤが並んでいる。
「本当は、茉耶ちんを驚かそうと思って色々サプライズを考えていたんだ。でも、今渡さないと俺を信じてもらえない様な気がしてね」
「あぁぁ……」
まさかこのタイミングで婚約指輪を渡されるなんて……
「んっ? 感動薄いけど、その指輪気に入らなかった?」
「あ、いえ、突然だったら驚いてしまって……それに、凄く豪華だから……」
戸惑う私を眺めていた専務が立ち上がり、指に私の髪を絡めながら言う。
「頼むから結婚はしないなんて言わないでくれよ。俺は失恋に慣れてなくてね。茉耶ちんに振られたら立ち直れないよ」
「そんな……私が専務を振るだなんて……」
「有り得ない?」
「え、えぇ……」
「その言葉を聞いて安心したよ。そうだよな。もう結納金は納めてあるし、茉耶ちんの方から破談にしたら結納金は倍返しだ。そんな事になったら君の実家も困るしな」
「えっ……倍返し?」
という事は、二千万の倍、四千万返さなきゃいけないの?
「そんなに驚かなくても、例えば……の話しさ。俺達は結婚するんだから心配する必要はないだろ?」
専務は優しい笑顔で念を押し、私を追い詰めていく。
「そう……ですね」