クールな次期社長の甘い密約
倉田さんと専務が……兄弟? まさか……そんな……
倉田さんの告白が衝撃的過ぎて、瞬きするのも忘れ彼を凝視したが、倉田さんにとって私のリアクションは想定内だった様で、気にする様子も無く話しを続ける。
「私の家は母子家庭で、生まれた時から父親が居ませんでした」
倉田さんのお母さんには、結婚を約束していた男性が居たのだけど、その男性の親に結婚を反対され、お母さんは泣く泣く身を引いたそうだ。しかし、別れた後に妊娠していた事に気付く――
「それが、倉田さんですか?」
「そうです。母は父に妊娠した事実を告げず、私を産んだんです」
そして、倉田さんが三歳になった時、突然見知らぬ男性がやって来て母親から引き離された。ワケが分からぬまま連れて行かれた家で待っていたのは、母親と同じくらいの歳の綺麗な女性だった。
その女性は、倉田さんに言ったそうだ。「今日から私がアナタのママよ」って。幼かった倉田さんは戸惑い、自分の家に帰りたいと泣き続けた。
そんな倉田さんを女性は抱き締め「ごめんね。許してね」って何度も詫びたそうだ。
「私を引き取ったのは、父でした。いや、正確には父の親、つまり、私の母との結婚を反対し、両親を別れさせた祖父でした」
「あ、あの、それってまさか、会長?」
「そうです。会長は母が子供を産んだ事を知っていて、父に私の存在を話し、引き取る様に命じたのですよ」
「でも、倉田さんのご両親を無理やり別れさせたのに、どうして急に倉田さんを引き取る気になったのですか?」