クールな次期社長の甘い密約
取材の内容は、将来有望な若いイケメン男性の特集だそうで、老舗大企業の御曹司であり、次期社長と言われている専務がこの特集のトリを務める事になっているらしい。
「それでは、写真撮影をさせて頂きますね」
スタッフが立ち上がってカメラをかまえると専務が振り返って私を呼ぶ。
「彼女は自分のフィアンセなんですよ。一緒に撮ってもらっていいですか?」
「えっ? この方が津島専務のフィアンセ?」
驚いた記者のテンションが一気に上がる。
「津島専務が婚約したって事は、まだ公にはされてませんよね? もし宜しければ、今回の特集でサプライズとして発表させて頂けませんか?」
「ほぉ~! それは面白い提案ですね。是非、そうして下さい」
ちょ、ちょっと待って。雑誌で発表だなんて……嘘でしょ?
私は焦りまくっていたが、専務は断然乗り気だ。
「津島専務のハートを射止めた女性がどんな方なのか、読者も興味あると思いますよ」
専務は私を隣に座らせ、記者の言葉に大きく頷いている。
このままでは本当に私まで雑誌に載せられてしまうと思い必死で断ったんだけど、専務と記者の人達に思いっきりスルーされた。
結局、私も取材を受ける事になり、戸惑いながら専務との馴れ初めを話していると眩しいフラッシュが何度も光る。その度、私の視線はカメラから逸れ、カメラマンの後ろに居る倉田さんに向いていた。
専務に寄り添い結婚の喜びを語る私を彼がどんな目で見ているのか……それが気になったんだ。