クールな次期社長の甘い密約

「確かに、私の我がままで東京に戻ろうとして山中で立ち往生してしまったのは事実です。結果、道案内の為、一緒に来てくれた大沢さんに迷惑を掛ける事になってしまいました。悪いのは私です」

「倉田さん……」

「なるほど……それが本当なら悪いのは倉田だ。茉耶は巻き込まれただけ。そこまではいいとして……俺が知りたいのはその後の事だ。暴風雨警報が出ていた大荒れの山中で、お前たちは翌朝まで二人っきりだった」


専務は、私と倉田さんが二人っきりで一夜を過ごした事が気に入らなかったんだ。倉田さんとの関係がバレたワケじゃない。


少しホッとして息を吐くが、安心したのも束の間、専務は私が母親にも話していない事を知っていたんだ……


「車の中で夜を明かしたなんて嘘を付くんじゃないぞ。あの夜、お前達は車の中ではなく、ベットで寝ていたんだからな」


全てを知っていると言わんばかりに倉田さんを睨む専務を見て愕然とした。でも、どうして専務は私達がラブホに泊まった事を知ってるの?


……それは、専務がたまたま仕事でGoogleを使っている時、ふと母親の言葉を思い出したのがきっかけだった。


「お母さんが言っていたよ。お前達が行こうとしたのは、下手をすれば命を落とす可能性もあるとても危険な道だったって。だから、どれほど危険な道なのか気になって見てみたんだ。

航空写真では、道路とは言えない曲がりくねった山道が続いていたよ。でもな、何もない山道だと思っていたら、増水して渡れなくなったという川から少し行った所に、建物が見えた……」

< 286 / 366 >

この作品をシェア

pagetop