クールな次期社長の甘い密約
「……建物」
しかし、画像ではその建物がなんなのか判断出来ず、分からないまま画面を閉じたが、なぜかその建物の事が無性に気になり、地元の役場に電話をして聞いてみた。
「役場の人は親切丁寧に教えてくれたよ。あれは、地元に一軒しかないラブホだってな。それで、そのラブホの電話番号を聞いて掛けてみたら、年配の女性が出て、お前達が仲良く同じ部屋に泊まったって全て話してくれた」
うそ……まさか専務が梅さんに電話していたなんて……
絶望の二文字が頭の中を掠め、ちゃんと息をしているはずなのに苦しくて意識が遠くなる。その時、今まで冷静に話しをしていた専務が倉田さんの胸ぐらを掴み低い声で怒鳴ったんだ。
「お前は俺を裏切った! これは普通の裏切りじゃない。分かってるよな?」
しかし倉田さんは取り乱す事無く私との関係をキッパリ否定した。でも専務は納得しない。
「専務、本当です。私と倉田さんの間には何もありません。信じて下さい」
「信じろだと? それならどうしてラブホに泊まった事を隠していたんだ? 何もやましい事がないなら言えるだろ!」
「それは、専務に余計な心配を掛けたくなかったから……」
悪いのは私。倉田さんは専務の事を一番に考えているの。だからお願い。倉田さんを責めないで……
でもそれを言葉にする事は出来ない。その歯がゆさ故、必要以上にムキになり、それがかえって専務の怒りを増幅させている事に気付かなかったんだ。
「倉田を庇うのに必死だな……茉耶」