クールな次期社長の甘い密約

「そんな……恨んでるだなんて……」


そう、私に専務を恨む資格などない。恨まれる様な事をしてしまったのは、私の方だもの。でも専務は、私が倉田さんと関係を持ったんじゃないかと疑っているのに、別れようとは思わないのだろうか……


それは、私を愛してくれてるから? それとも社長になる為に私が必要だから? 専務の本心が知りたかったけど、今それを聞く勇気は……ない。だから、乱暴に押し倒されても、それを拒む勇気もなかった。


「茉耶が誰のモノか……この体に教え込まないといけないな」

「専務……」


いつもの様に私の体に激しく唇を押し当て、壊れそうなくらい強く抱き締めてくる。でも、今日は何かが違った。熱い吐息も、肌に触れる指先の感覚も一緒なのに……今までの専務とは違う。


それがなんなのか、専務と一つになった時、彼が私に言った言葉でようやく分かった。


「――覚えておけ……倉田にだけは、絶対に渡さない」


専務は憎しみの中で私を抱いていたんだ……






――専務と同棲を始めて二週間が経った。


倉田さんは専務秘書を解任されたが、会社を解雇される事はなかった。今は会社近くのビジネスホテルに泊まっているらしい。


らしい……というのは、本人に直接聞いたワケじゃないから。これは、麗美さんからの情報だ。


倉田さんが専務のマンションを出た次の日、倉田さんの事が気になってこっそりショートメールを送ったけど、返信はなかった。会社でも顔を合わす事がなかったから、今倉田さんがどんな気持ちで居るのかさえ分からない状態だった。

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