クールな次期社長の甘い密約
「間違いありません! 責任を取って下さい!」
ドアの隙間から見えたのは、専務に縋り付く木村さんの姿。
その光景だけでも衝撃的だったのに、次に専務の口から出た言葉は、それを遥かに上回る衝撃だった。
「バカ言え! 俺は結婚するんだぞ。それに、俺の子だとは限らないだろ?」
俺の子……何それ?
「酷い……お腹の子は、専務の子供です」
えっ……木村さん妊娠してるの? それも、専務の子供を?
二人の会話に頭の中が真っ白になり、血の気が引いていく。
「それはどうかな? 俺と付き合っていた頃から隠れて合コンとか行ってたんだろ? 男遊びのツケをこっちにまわさないでくれ」
「それは……専務がなかなか会ってくれないから寂しくて……でも、専務と付き合ってた時は他の男性と関係を持った事はないわ」
専務に抱き付き泣きじゃくる木村さんを呆然と眺め、これが本当に現実なのかと自分の目と耳を疑う。でも、目の前の光景は紛れもない現実で――夢でも幻でもない。
木村さんの妊娠は、言葉では言い表せないくらいショックだった。でもそれ以上にショックだったのは、専務の木村さんに対する態度だ。
「口では、なんとでも言えるからな……」
自分の子供を妊娠しているかもしれない木村さんに、平然とそう言ってのける専務に疑問を感じたんだ。
もし私が木村さんだったら、あんな冷たい態度で拒絶されたら耐えられない。
そう思った時、専務は更に酷い言葉を木村さんに浴びせる。
「金か? 金目当てなのか?」