クールな次期社長の甘い密約

――その日の夜……


あれから倉田さんは、専務とどんな話しをしたんだろう……


もしかしたら倉田さんから連絡があるんじゃないかと思いスマホを握り締め待っていたが、もう深夜の二時だ。専務もまだ帰って来ないし、木村さんとの話し合いがこじれているのかもしれない。


心配でジッとしていられず、リビングをウロウロしていたら玄関のチャイムが鳴った。ドアを開けるとそこに居たのは、泥酔してフラフラの専務と倉田さんだった。


「うそ……」


思わず声を上げる私の横を意識が朦朧とした専務を抱えた倉田さんが通り過ぎて行く。


「大沢さん一人では、専務を寝室に連れて行けないでしょう。上がらせてもらいますよ」


慌てて二人の後を追い、専務をベットに寝かせた倉田さんに事情を尋ねるが、彼は何も言わず帰ろうとする。でも、このまま何も分からない状態で倉田さんを帰すワケにはいかないと、玄関先で声を潜め再び聞いてみた。


「木村君の件は解決しました。もう心配はいりませんよ」


えっ、解決した? お互い一歩も引かない状態だったのに、いったいどんな風に解決したんだろう?


しかし、倉田さんはその疑問には答えてはくれず「木村君が納得してくれたので、大丈夫です」とだけ言って優しい笑顔を見せる。


「本当に木村さんは納得したのですか?」

「はい、専務と木村君、二人が納得出来る一番いい方法でね」


一番いい方法……それがなんなのか、倉田さんは教えてはくれなかった――……

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