クールな次期社長の甘い密約

――けれど、木村さんのお腹の中に居る子供は専務の子供なんだから、私にとっても大問題だ。解決したというのなら、どういう条件で二人が納得したのかを知りたい。


それに、専務の木村さんに対するあの態度も、ずっと心に引っ掛かっていた。


でも、翌朝、起きてきた専務の顔を見たら何も言えなくて……やっぱり倉田さんに聞くのが一番いいと思い、何度も電話やメールしたがスルーされ返信はなかった。


それならと仕事終わりに待ち伏せしたんだけど、倉田さんは現れず捕まえる事は出来なかった。


どうして私を避けるの? 私は真実を知りたいだけなのに……


悶々とした気持ちを抑え切れなくなった私は、とうとう仕事中に秘書課に乗り込んだんだ。と言っても、根がヘタレな私に出来るのは、麗美さんに用事があるフリをして秘書室を覗く事くらいだ。


「茉耶ちん、どうしたの?」


突然の私の訪問に驚く麗美さんを廊下の隅に引っ張って行き、倉田さんを呼んで欲しいと頼む。


「倉田課長? 残念だけど、倉田課長は二日前から常務の出張に同行して大阪に行ってるよ」

「えっ、出張中?」


あぁ……だから待ち伏せしても捕まえられなかったんだ。


「で、いつ帰って来るんですか?」

「明後日の予定だけど……倉田課長がどうかした?」

「あ、いえ、倉田さんが帰って来たら、私がどうしても会いたいと言ってたって伝えてもらえませんか? それと、この事は専務には秘密という事でお願いします」

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