クールな次期社長の甘い密約
常務は、それがなんなのかは教えてくれなかったけど、私は秘密にしていた自分の想いを吐き出した事で少し気持ちが楽になった。
そして、一番大切な事――木村さんの妊娠は想像妊娠だったと話し、認知の必要がなくなったから、それを倉田さんに伝えて欲しいとお願いする。
この事を知れば、倉田さんから連絡があるかもしれない。
そんな期待を胸に、笑顔で頷く常務に一礼して常務室のドアを開けた。けれど、そこには私を待ち構えていた麗美さんが居て、いきなり羽交い絞めにされる。
「れ、麗美さん、何するんですか?」
「前言撤回だよ。緊急会議は夜じゃなくお昼に変更!」
常務との会話を盗み聞きしていた麗美さんは、ちゃっかり森山先輩に連絡していたみたいで、ランチの時間になると私は二人に緊急会議という名の下、会社から少し離れたカフェに強制連行された。
「ちょっと~倉田課長が好きとか常務に言っちゃって良かったの?」
麗美さんは心配してくれていたけど、森山先輩は「全部吐け!」と鼻息荒く私を睨んでいる。
これはもう誤魔化せる雰囲気じゃない。ここで嘘を付いてそれがバレたら、私は間違いなく半殺しだ。
「実は……」
観念して木村さんの想像妊娠騒動や小沢さんのメール事件。そして、倉田さんとの関係を正直に話す。
「うそ……倉田課長とシちゃったの?」
「えぇ、まぁ……」
「大沢さん、アナタ、大人しそうな顔してなかなかやるじゃない」
なぜか森山先輩は嬉しそうだ。