クールな次期社長の甘い密約
「でも、専務ってそんなに性悪だったの? 木村主任の子供を自分の子じゃないとか、倉田課長に認知しろとか、有り得ないんだけど」
「……専務はスキャンダルになるのが怖かったんだと思います。社長になるのに必死で、私と結婚する事が社長への一番の近道だと思っているんです。それに、倉田さんに私を渡したくないって意地になってて……」
「はぁ? なんで意地になるのよ?」
あっ、しまった……それは言わなくても良かった事だ。
倉田さんと専務が異母兄弟だという事は、倉田さんに口止めされていたから言うつもりはなかったのに、つい口が滑ってしまった。
話しをはぐらかそうとしたけど、それが余計に二人の興味を引いてしまい厳しい追及が始まる。
「言わなかったら絶交だからね!」
小学生の様な事を言って私を脅す森山先輩。そして麗美さんも目を三角にして迫ってくる。
「そーそー! 友達なのに隠し事なんて、もう茉耶ちんとは付き合えないな~」
「そんなぁ~」
二人は私の唯一の友達。失うなんて耐えられない。迷いに迷った末、絶対に誰にも言わないという言葉を信じて倉田さんの過去を話してしまった。
絶句した二人が顔を見合わせる。
「……それ、凄い衝撃なんだけど……」
「私も初めて聞いた時は驚きました。そんな過去があったのに、専務に一生懸命尽くす倉田さんを見てると辛くて……」
「でも、専務も酷いけど会長も酷いよね。同じ孫なのに、どうしてそんなに倉田課長に辛く当たるんだろう?」