クールな次期社長の甘い密約
麗美さんが疑問に思うのは当然だ。仮にも血の繋がった孫。あんな風に目の敵にする理由が分からない。
倉田さんは純粋に、祖父である会長に自分の存在を認めて欲しいって思ってるだけなのに……
つくづく可哀想な人だとため息を付くと森山先輩がテーブルをバン! と叩き「今は倉田課長に同情してる場合じゃないでしょ!」と声を荒げる。
「大沢さん、アナタは倉田課長が好きなんでしょ? このまま専務と愛のない結婚していいの?」
「それは……」
「もぉ~自分の事なのにハッキリしないわねぇ~ 私だったら借金なんて気にせず、好きな人の胸に飛び込んで行くけどね。それとも何? 社長夫人になりたいって野望でもあるの?」
「なっ、社長夫人だなんて……そんな野望ありません」
「だったら決断しなさいよ! 後悔したくないでしょ?」
後悔はしたくない。でも、家族の事を思うとそう簡単には決断出来ない。
心の中で葛藤が続き、いつまで経っても俯いたままの私に、麗美さんがボソッと言う。
「要するに、結納金と借金の肩代わりしてもらったお金を専務に返せばいいんでしょ?」
「そうですが、それが出来ないから困っているんです」
沈んだ声で呟くと麗美さんがあっけらかんとした顔でとんでもない事を言い出した。
「だったらさぁ、会長にお願いしてそのお金出してもらえばいいじゃん。会長は自分の命を助けてくれた茉耶ちんのひいおじいさんの家族に恩返ししたいと思っているんでしょ? 茉耶ちんが頼めば、絶対出してくれるよ!」