クールな次期社長の甘い密約

「か、会長にですか?」


突拍子も無い提案に愕然とするが、森山先輩はそれしかないと麗美さんの提案を大絶賛。


しかし、いくらなんでも会長にそんなお願い出来るワケがない。速攻で拒否したけど、私の意見は完全無視。森山先輩と麗美さん二人で盛り上がり、どんどん話しを進めていく。


「いい? 結婚式までもう後一ヶ月しかないのよ。体裁とか考えてる暇はないの。専務だって姑息な手を使って茉耶ちんと結婚しようとしているんだから遠慮する事ないわ」

「うんうん、今の専務は優しいかもしれないけど、結婚して社長になったら茉耶ちんは用無しだよ。そうなったら不倫するに決まってる。それでもいいの?」


麗美さんが言っている事は正しいのかもしれない。専務にとって私は社長になる為の道具。社長になれば、私は必要なくなるんだ……


初めは会長にお金を借りるなんてとんでもない事だと思っていたけど、二人の話を聞いているうちに私の気持ちに変化が現れた。


「本当にそんな事をして、許されるのでしょうか?」

「許すも許さないもないでしょ? そもそも結婚っていうのは、お互いが想い合って幸せになる為にするモノじゃない。不幸になるのが分かってて結婚するなんてバカげてる。

それに、大沢さんは家族の為とか言うけど、娘が不幸になって喜ぶ親がどこに居るのよ? アナタが幸せになる事が家族にとっての幸せなんじゃないの?」


私が幸せになる事が、家族の幸せ……そんな事考えた事もなかった。私さえ我慢すれば、皆が幸せになれると思っていたから。

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