クールな次期社長の甘い密約
「アレとは……なんの事ですか?」
「ほら、アナタと倉田課長がホテルで密会してたあの画像よ!」
えっ……どうしてあの画像が?
森山先輩の話しによると……ランチから戻って三十分ほど経った時、麗美さんからあの画像が拡散されてるってラインがきたそうだ。
「今朝早くに何人かの大沢さんの同期の子に送られてきてたみたいでね、それがあっという間に拡散されて社内に広まったようよ。谷本さんにも同期の娘から"大スキャンダル、知ってる?"ってラインがきたって言ってたわ」
今朝早くという事は、私が常務に小沢さんの事を報告する前だ。
「でも、その小沢って娘、相当執念深いわね。専務だけだと思っていたら社員にまで……これは厄介な事になりそうよ」
私と森山先輩が話している間も、私達の横を通り過ぎて行く社員の中には冷めた視線を向けていく人が居て、確実に噂は広がっていると思われた。
その後、受付に戻って会長にはお金を借りる話しは出来なかったと森山先輩に説明すると、先輩はお手上げって感じでため息を付く。
でもすぐに「ちょっと、モノは考えようよ。これはチャンスかもしれないわ!」って目を輝かせる。
「チャンスですか?」
「そうよ。アナタと倉田課長の事が社内で噂になれば、専務の方から別れを切り出してくるかもよ。そうなれば、結納金の倍返しもしなくていいでしょ?」
あ、そうか。そういう事だよね。それに、私は会長を怒らせてしまった。会長が結婚に反対すれば、専務だって私と結婚しようなんて思わないかもしれない。