クールな次期社長の甘い密約
毎日々、世間と隔離された場所で朝から晩まで時計とにらめっこしていると気持ちが滅入り、徐々に諦めという気持ちが大きくなっていく。
このまま専務と結婚するんだろうな……そんな風に思い始めていた時だった。来客を知らせるチャイムが鳴る。
食材の宅配を頼んでいる業者だと思いモニターを確認した私は、思わず驚きの声を上げる。
「えっ、どうして?」
『それはこっちの台詞よ! 急に会社辞めちゃうし……とにかく中に入れて。話があるの』
急いでマンションのオートロックを解除して玄関で待っていると麗美さんと森山先輩がキョロキョロしながらエレベーターから降りてきた。
「平日なに仕事はどうしたんですか?」
「有給よ。こうでもしないと大沢さんと話せないでしょ? 専務は日帰り出張で大阪に行ってるから今日しかないと思ってね」
「あぁぁ……」
二人の笑顔を見たとたん嬉しくて涙が溢れ出す。
「ほらほら、泣かないの。ケーキ買ってきたから三人で食べよ?」
麗美さんの言葉に頷き、二人をリビングに案内すると部屋を見渡した森山先輩が「素敵な部屋ねぇ~」って呟き、ため息を漏らす。
「素敵な部屋ですけど、一人で一日中ここに居ると息が詰まりそうです」
森山先輩より大きなため息を付く私に、呆れ顔の麗美さんが自分のスマホを差し出してくる。
「常務が茉耶ちんと話しをしたいって言ってるの」
「常務が?」
「うん、麻耶ちんのスマホが通じないから専務に聞いたら、自分がスマホを預かってるって言うじゃない。そこまでするかって驚いたわよ」