クールな次期社長の甘い密約
「私が倉田さんと連絡を取るんじゃないかって疑ってるみたいで……」
「なんだか専務のイメージがどんどん悪くなるな……とにかく、常務が待ってるから電話してあげて」
倉田さんの居場所が分かったのかもしれないと思い期待に胸躍らせ常務に電話をしたのだけど、無情にも常務の答えは『返信はありませんね』だった。
「そうですか……」
『一応、こちらの状況はそのつどメールして知らせているんですが、読んでないのか全く反応がなく参ってます。せめて居場所が分かるといいんですがね』
落胆する私に常務が話してくれたのは、小沢さんの件。
常務が宮川先生に強く抗議するとその後、小沢さん本人が常務の所に謝罪に来たそうだ。
『宮川君に相当叱られたみたいでね、泣きながら謝っていましたが、僕に謝られてもねぇ……大沢さんの所に謝りに行くよう言いましょうか?』
「いえ、謝るなら倉田さんに……一番の被害者は倉田さんですから」
しかし、その倉田さんは未だに行方不明。どこで何をしているのか全く分からない。
更に落ち込み項垂れると常務が低い声でボソッと言う。
『会長がさっき退院しましてね、急遽、役員会議が開かれる事になったんですよ』
「役員会議ですか?」
『ええ、その会議で会長が会長職を辞するという発表がある様です。そうなれば、社長が会長になり、社長の席が空く事になる』
「という事は……」
『そうです。いよいよ後継者が決定します』