クールな次期社長の甘い密約

……ううっ、頭痛い。気持ち悪い……この最悪なまでの体調の悪さは、なんなんだろう?


布団から目だけを出し顔を顰めて考えるも、まだ思考回路が上手く繋がっていないから状況判断が出来ない。でも、いつもと何か違うという違和感だけはハンパない。


なんだか布団が軽い。シーツの肌触りも違う。


徐々に意識が鮮明になるにつれ、私は言いようのない不安に襲われた。慌てて起き上がると頭がちぎれて飛んでいきそうなくらい激しい痛みが走る。


「くぅ~死ぬ~」


頭を抱えながら薄目を開け、恐々辺りを見渡してみて分かった。


――ここ、私の部屋じゃない。


夢中でベットから這い出そうともがくが、体が思う様に動かず見事に落下。悲鳴と共にドスンとデカい音がする。


「ヤダ……ここ、どこ? どうして私、こんなとこに居るの?」


なぜこうなったのか……必死で思い出そうとしても頭の中は空っぽ。微かに残っていた記憶は、麗美さんとお好み焼き屋で飲んでいたって事だけ。その後の事は全く覚えてない。


――と、その時、部屋のドアが開き、明るい光が差し込んできて私の顔を照らす。


「――……っう」


普段なら全く気にならない電気の明かりが堪らなく眩しく感じて目を閉じるとあの低音ボイスが聞こえてきたんだ。


「よく眠れたかな? 茉耶ちん」


こ、この声は……「せ、専務?」


彼の顔を見たとたん、頭痛も吐き気も一気に吹っ飛び、金縛りにあったみたいに体が固まる。

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