クールな次期社長の甘い密約
「やはり覚えてないんだな。あれから車に乗った茉耶ちんは、すぐに爆睡しちゃってね。仕方ないから君の家まで送ろうと思ったんだけど、本人が酔い潰れて意識不明だったから家が分からず俺のマンションに連れてきたんだよ」
「えっ……じゃあ私、ずっと眠ってたんですか?」
「あぁ、俺も今日は接待ゴルフの予定があったから早く寝ようと思ったんだが、茉耶ちんの寝言と歯ぎしりとイビキが凄くてね、リビングに避難してたんだ」
毛も恥ずかしいけど、寝言と歯ぎしりとイビキもかなり恥ずかしい。でも待てよ……って事は……
「私と専務は……何もなかった?」
独り言のつもりで呟いたのに、専務にはその声が聞こえた様で、私の顎を持ち上げ「ふふっ」と笑う。
「なんだ? 残念そうだな。もしかして俺に抱いて欲しかったのか?」
「ひっ、そ、そんな……滅相もない」
「悪いが、俺には意識のない女を無理やり抱く趣味はない。セックスする時は、俺の目を見つめ激しく乱れて欲しいからな」
目を見つめ……激しく……乱れる?
専務にしてみれば、どうって事ない台詞だったのだろう。でも、全てが未経験の私にとってそれは未知の世界で、鼻の奥がツンとして鼻血が出そうになる。
堪らず鼻を摘む私に向かって、立ち上がった専務が右手を差し出してきた。
「ほら、立って。ダイニングに二日酔いの薬が置いてあるから飲むといい。俺は今から出なきゃいけないが、君の事は倉田に家まで送るよう頼んであるから」