クールな次期社長の甘い密約

なんて紳士的な人なんだろうと感心してしまった。今まで男性は怖いモノだと思っていたから、なるべく関わらない様に生きてきたけど、専務みたいな人も居るんだ。


しかし、もうこれ以上、専務や倉田さんに迷惑は掛けられない。だから一人で帰れると丁重にお断りしたんだけど、専務は頑なで、倉田さんに送ってもらえと一歩も引かない。


「まだ顔色が冴えないな。大丈夫か? 気分が悪いんだったら横になってるといい。それじゃ、行ってくる」


玄関先で頭をポンポンされそんな事を言われたら、専務の恋人になったんじゃないかと錯覚してしまう。


わわっ! 私ったらまた変な事考えてる。きっと専務は私だけじゃなく、誰にでもこういう風なんだ。勘違いしちゃダメ。だって、専務は秘書課に彼女が居るんだもの。


専務に傾く気持ちを戒め、重い足取りでリビングに戻ると改めて部屋を見渡してみた。


このリビングって何畳あるんだろう? さっきまで居たベットルームは、私のワンルームの部屋と同じくらいの広さだった。それに、何? この窓。壁一面が硝子張りになっていて街が一望出来る。まるで展望台だ。


「すごーい、東京タワーも見える」


さすが津島物産の専務。いい所に住んでるなぁ~


眼下に広がる景色をぼんやり眺め、改めて専務と私は住む世界が違うと再確認したその時、突然後ろから声を掛けられた。


「どうやら酔いは醒めたみたいですね」

「ひっ、く、倉田……さん」


あ~ビックリした。なんなのこの人、全く気配を感じなかった。

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