クールな次期社長の甘い密約

――そして、小学校の入学式


周りの空気を読めない母親は、金髪の私にお化粧までして入学式に出席させた。おまけに他の子達はスーツだったのに、私は結婚式に出席する様などピンクのヒラヒラドレス。


当然、私は浮きまくり、子供達のみならず保護者や先生にまで白い目で見られた。それからの学校生活は地獄だった。同級生からは執拗なイジメに合い。上級生には取り囲まれて暴言を浴びせられ、友達になってくれる子は一人も居なかった。


頼りの先生でさえ私の味方にはなってくれず、四面楚歌状態。


私がこんな扱いを受けるのは目立つから……そう思った私は堪らず泣いて母親に訴えた。だが、可愛い格好をしている私を羨んでいるだけだと一笑され取り合ってくれない。


どんどん人嫌いになり、家に引きこもる様になった私を心配した祖母と父親が母親を叱り、髪を黒に染めてくれて普通の服を買ってくれた。


祖母の見立てだからあり得ないくらい地味だったけど、その日以来、暴言などのイジメはなくなり、代わりに相手にされなくなった。それでも私は救われたと思ったんだ。たとえ話し掛けられなくても、以前に比べたら天国だったから……


その事で私は学んだんだ。目立たなければイジメられないと――


「……なので、極力目立たないよう地味に生きてきたんです」


震える声で呟くと麗美さんが優しい笑顔で私の手をギュッと強く握ってくれた。


「茉耶ちんも辛かったね……」


その笑顔は何もかも忘れさせてくれる様な素敵な笑顔だった。

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