クールな次期社長の甘い密約
「な、なるほど……」
クールでミステリアス……そういう言い方もあったんだと納得する。でも、麗美さんがあの倉田さんを好きだったなんて結構な衝撃だ。
「倉田課長ってね、秘書としても上司としても完璧で尊敬出来るんだよね。それに、秘書課の綺麗な先輩達に色気ムンムンで迫られても全く動じないし、下心なんて一切ないって感じ。硬派なんだよな~」
確かに、そんなイメージだ。彼が興味あるのは専務だけだもん。って……えっ、という事は、もしかして倉田さんって……恋愛の対象は、男? いや、いくらなんでもそれは考え過ぎだよね。
イケナイ妄想を一度は否定したが、改めて倉田さんの言動を思い起こしてみるとその疑惑がどんどん大きくなっていく。
でもこれは、あくまでも私の推測でそうと決まったワケじゃない。証拠もないのに、むやみに口に出しちゃダメだ。この事は確信が持てるまで自分の胸に仕舞っておこう。
そう心に決め、複雑な気持ちでグラスに残っていたメロンサワーを飲み干す。
そして、楽しそうに倉田さんの話しをしている麗美さんを見て、倉田さんの悪口を言わなくて本当に良かったとつくづく思う。
特に試着室での出来事は絶対に知られてはいけない。半裸の状態で彼に胸を触られたなんて麗美さんに話してたら今頃、私は麗美さんにボコボコにされていたかも……想像しただけでゾッとする。
恐れおののき身震いした時だった。私のスマホが鳴り出す。