クールな次期社長の甘い密約
疑いの眼差しを運転席に向けていたが、不意に隣の専務に肩を抱かれ、その手が私の顎を持ち上げる。専務の顔が間近に迫り、無意識に体を仰け反らせていた。
「な、なんでしょう?」
「んっ? この服、俺がプレゼントしたヤツだろ? よく似合ってる。可愛いよ」
そう言って専務は、私の胸のすぐ下にあるくるみボタンを指で弄ぶ。その指がいつ胸に触れるかと気が気じゃない。
やっぱりダメだ……冷静ではいられない。
限界ギリギリの状態だったけど、ちゃんとお礼を言わなくちゃと思い、改めてプレゼントしてもらった服のお礼を言う。
でもその声は上ずっていて動揺してるのが丸分かり。きっと専務もそれに気付いていたはず。堪らずそっぽを向き視線を逸らした次の瞬間……
専務が私の耳にソッとキスをした。
「あっ……」
温かくて柔らかい感触。これが専務の唇――……
頭の中が真っ白になり、軽く放心状態。もしこれ以上、専務に何かされていたら私の意識は完全に飛んでいた。
数分後、見覚えのあるマンションに到着し、一階の駐車場に入った車がゆっくり停車する。
えっ? マンション? てっきりどこかで食事するんだと思ってたのに、いきなり専務の部屋とは……どうしよう。まだ心の準備が出来てない。
緊張マックスで専務の後に続きエレベーターに乗るが――
あれ? あれれ? 倉田さんも一緒に来るの? あ、そうか。専務を部屋までお見送りするんだ。
納得してエレベーターを降り、専務の部屋の前まで来たんだけど、カードキーでドアのロックを解除した倉田さんがそのまま部屋の中に入って行く。