クールな次期社長の甘い密約
そう自問していると、突然背後から専務に強く抱き締められた。
「グエッ!」
完全無防備だった私はカエルが潰れた様な下品な声を上げ、慌てて専務の手を振り解く。
「どうした?」
「い、いけません……倉田さんが居るのに……」
「なんで? 倉田の事は気にしなくていいと言ったはずだが?」
「そんな事を言ったら倉田さんが可哀想です。あんなに専務に尽くしているのに、彼の気持ちを考えると私……」
専務はキョトンとした顔で私をマジマジと見つめる。
「茉耶ちんの言ってる事がよく分からないんだが……どうして倉田が可哀想なんだ?」
「だって、二人は同棲までしているのに……」
やっと私の言たい事が分かったのか、専務が真顔になる。しかし、すぐにお腹を抱えて大笑い。
「あははは……茉耶ちんは想像力が豊だなぁ~。いやぁ、俺と倉田の仲を疑うなんて実に面白い。益々君が気に入った。でも残念ながら俺達は同棲なんかしていない。ただの同居だよ」
涙を流して笑いこける専務を見て、やっぱり倉田さんの片思いなんだとやり切れない気持ちになる。
倉田さんの秘めた想いは専務に届いてないんだ。同じ屋根の下、彼は叶わぬ恋に毎夜、枕を濡らしているのかもしれない。
倉田さんの純愛に胸打たれ俯く私を専務が再び抱き締め低音ボイスで甘く囁く。
「なぁ、茉耶ちん――俺のモノになってくれないか?」