クールな次期社長の甘い密約
今まで散々倉田さんが可哀想だと同情していたのに、その言葉を聞いた瞬間、倉田さんの事がどこかに吹っ飛んでしまった。
「……専務」
「君は、いい意味でことごとく俺を裏切ってくれた。一緒に居てこんな楽しい女性は初めてだ」
専務にとって私は初めて接する珍獣みたいな存在なのかもしれない。だから興味を持った? って事は、本気ではなく遊び?
それに、私は大事な事を忘れていたんだ。
「あの、専務、つかぬ事をお伺いしますが、専務にはお付き合いしている女性が居るのでは?」
私を抱き締めている専務の体がピクリと反応したのが分かり、あぁ、やっぱりかと息を吐く。
専務の事は好きだけど、初めて男の人を好きになった恋愛初心者の私に割り切った大人の関係を求められても困る。
それなら遠くから専務を眺めている方がいい。自分の立場も考えず、専務の彼女になれるなんて大それた事を考えていた私がバカだったんだ。
やっと自分の愚かさに気付き、専務の胸を押すと予想していなかった言葉が降ってきた。
「確かに特別な関係の女は居た。でもな、茉耶ちんと関わる様になって別れたよ。完璧だが面白味のない女より、君と居る方が何十倍も何百倍も楽しい。俺は完全に君の虜だ……
それに君は、磨けば想像以上に輝く宝石の原石みたいな女性だ。そんな未知の可能性を秘めた君を俺好みの女に変えていく喜びを味わったら……もう離れられない」
こんな歯の浮く様な台詞をサラッと言ってのける専務に私の目は釘付けになる。そして、まるで魔法にかかったみたいに動けなくなってしまった。