クールな次期社長の甘い密約
「今日は意識があるから遠慮しないよ」
怪し気に微笑む専務が私の頬を撫で、親指で唇をソッとなぞる。
「可愛い唇だ……欲しい……」
その言葉と同時に顎を持ち上げられ、後頭部を抱え込まれる。そして――初めてのキス……夢にまで見たファーストキス。
専務の柔らかい唇が触れるたび心臓がドクンと大きく跳ね、体の奥から何か熱いモノが込み上げてくる。でもそれがなんなのか、考える事も出来ないほど私の意識は靄が掛かったみたいにぼんやりしていた。
どのくらいキスをしていたんだろう。急に唇が離れたと思ったら、専務が私の体を軽々と持ち上げ、切れ長の目を細め言う。
「もう我慢出来ないんだけど……」
「せ、専務……」
それがどういう意味なのか、初めての経験だったけど、恋愛ドラマを貪る様に観てきたからすぐに分かった。でも恥ずかしくて何も言えず、火照った頬を隠す様に俯く事しか出来なかった。
専務は無言の私を抱いたままベットルームに向かって歩き出す。開け放たれた部屋には、綺麗にベットメイキングされた大きなベット。その上にソッと下ろされると恐怖と緊張で専務に背を向けてしまった。
専務が好きだけど、大好きだけど、どうしようもなく怖い。
肌触りのいいシーツの上に沈む体が微かに震えている。
そして、私を包む様に覆い被さった専務の手が背中のファスナーを時間を掛け、ゆっくり下ろしていく――
緊張で少し汗ばんだ背中にひんやりとした空気が纏わり付くのを感じる。それは同時に、専務の目にその背中が晒されているという事。