クールな次期社長の甘い密約
そんな事まで倉田さんに報告しなきゃいけないの? と困惑する。
だから言葉を濁していたんだけど、とうとう痺れを切らした倉田さんが怒鳴り出す。
「ま、まさか セックスしなかったんですか?」
突然の大声に驚き、ついはずみで「はい」と答えてしまった……
それを聞いた倉田さんが珍しく取り乱し、勢いよく振り返るものだから車は左右に大きく振れ、もう少しで白壁に激突するところだった。
「くっ、倉田さん、お願いですから前を……前を向いて運転して下さい」
しかし倉田さんは何かに憑り付かれたみたいに「信じられない」という言葉を繰り返し、冷静さを失っていく。
それからフラつく車に命の危険を感じつつ必死で倉田さんを宥め、なんとか路肩に車を止めてもらえた時には全身汗だくだった。
「あの専務が女性に何もしなかったなんて……納得出来ません。理由を聞かせて下さい」
血走った彼の目を見たら恐ろしくて結局、私が怖くて直前で拒否してしまったんだと話してしまった。
「はぁ? 怖い? 子供じゃあるまいし……」
「なっ、その言い方、酷くないですか? 仕方ないでしょ…… 初めてだったんだから」
「初めてって……そんなのは気持ちの持ち様でなんとでもなります。そこまでウブだったとは……呆れましたね」
倉田さんには、今まで何度もイラッっとしたけど、この一言で私は生まれて初めてブチギレた。