クールな次期社長の甘い密約
――そして、月曜日。
どんより気分のまま会社に行くと森山先輩が私の様子に気付いたのか、すぐに声を掛けてきた。
「どうしたの? なんかゲッソリしてるわよ。具合悪いの?」
「いえ、体調はいいんですが……気持ちの方がちょっと……」
ため息を付く私を見た森山先輩が、拭き掃除をする手を止めニンマリ笑う。
「おや~? もしかして、恋の病?」
森山先輩の勘ぐりはキッパリ否定したけど先輩は何か怪しんでいるようで、掃除をしている私の後ろにピッタリくっ付いて離れようとしない。
「ねぇねぇ、絶対に男絡みでしょ? 言いなさいよ~ここの社員の事ならだいたい分かるから力になれると思うわよ~」
あぁ、そうか。森山先輩なら倉田さんの事も知ってるよね。
急いで掃除を終わらせ森山先輩とカウンター内に移動すると辺りを見渡し身を屈める。
「実は、専務秘書の倉田さんの事なんですが……」
「倉田課長ですって? まさかアナタ、あんな堅物が好みだったの? 悪い事は言わないわ。あの人はやめておきなさい」
「いえ、倉田さんに恋愛感情はこれっぽっちもありません。私が知りたいのは、彼がなぜあんなに専務の為に一生懸命なのかって事です。倉田さんは仕事だって言ってましたけど、私はそれだけじゃないような気がして……」
すると今までニヤニヤしていた先輩の顔が急に真顔になる。
「アナタ、なかなかいい観察力ね。いいわ。教えてあげる。その代わり誰にも言っちゃダメよ」
さすが森山先輩だ。八年間、日々社員を観察してるだけの事はある。