溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

◇◇◇

通りすがりに通路から見た窓の外は雨だった。
そういえば朝のワイドショーで、いつもより一週間遅い梅雨入りだと盛んに盛り上がっていたっけ。
なんとなく耳に入っていた情報をふと思い出した。

自販機が並ぶ通路の一角で立ち止まり、雨に濡れた景色を窓から眺める。
風はないのか、空から一直線に雨粒が降り注いでいた。

京介さんのお母様が私のアパートに来てから、今日で一週間が経つ。
たびたび私のスマホに入る彼からの電話には、いっさい出ていない。
メールにも返信しないまま。

お母様の言いつけに忠実に従っていた。
――従うしかなかった。

いつか終わらせなければならない時がくることはわかっていた。
嘘で固めた自分のまま、京介さんの隣に居続けることはできないと。
それがわかっていながら、臭いものにふたをするように、嫌なことから目を背けてきた。
ただひたすら、この時間が続けばいいのにという身勝手な願いを抱えて。

そんな虫のいい話があるはずもないのに。
偽りだらけの私が、あんなに素敵な彼のそばにいていいわけがない。
くるべき時が来ただけのことなのに、胸には大きな穴がぽっかりと開いていた。

ふと“カコン”という音がして、そちらを見る。
そこにいたのは、京介さん――副社長だった。

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