溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「お待ちしていました」
男性の声だった。
「大変申し訳ありませんでした」
相手がなにかを言う前に、先回りをして謝罪した。
「どうして謝るんですか?」
……え? 『どうして』って……。
ゆっくり顔を上げていく。
男性客は室内だというのに帽子を目深に被り、サングラスを掛けていた。
表情が見えないだけに警戒心がさらに強まる。
「なにか、こちらに不手際があったのでは……?」
「不手際……。まぁそう言われてみれば、そうなのかもしれない」
どこかで聞いたことのあるような声だった。
ただ、それを探っている心理的余裕はない。
「とりあえず入ってください」
男性客に言われて、「失礼します」と中へ入った。
どこかに落ち度はないか、あちらこちらに目をやって確認する。