溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「上川さん、ご自宅までお送りしますよ。もう勤務時間は終了ですよね」
自分の姿をあらためて確認する。
慌てて駆けつけたものだから、もう一度、制服へと着替え損ねたのだ。
「いえ、私なら――」
「上川さん、私もそうしていただいた方がいいと思います」
井森さんが目に笑みを滲ませながら言う。
なにかを訴えかけるような視線だった。
「それでは副社長、失礼いたします」
井森さんは立ち去る間際、私に向けて軽くウインクのような仕草をしてみせた。
私になにをしろというのか。
井森さんが消えたドアを見つめる。
逃げる口実を失って立ちすくんだ。
「車を下につけるから、用意ができたら来るように。これは副社長命令です」
京介さんはそう言い置き、先に部屋を出て行ってしまった。
バッグを取りに更衣室へ寄ったあと一階へ行くと、エントランスのガラスドアの向こうに見慣れた車が停まっているのが見えた。
副社長の社用車だった。
私に気づいて、後部座席のドアが彼によって開かれる。