溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

予想していたものとは真逆の展開は、私の頭を混乱させた。
なにが起きているのかわからない。
どうして彼がそんなことを言えるのかも。

もしかしたらこれは、現実から逃避したいがために私の頭が作り出した幻影なのかもしれない。
そうでなければ、今の状況の説明がつかなかった。


「もっと早く気づいていればよかった」


“気づいていれば”?
……それじゃ、お母様から聞かされたわけではないということ。


「ただ単に声がそっくりなだけだと初めは思っていたんだ。あの展示会のときに見た首筋の絆創膏。あれを見て、どこか引っ掛かったんだ」


京介さんの付けたキスマークを隠すために貼った絆創膏。
それを虫刺されだと誤魔化したときのことだ。


「美緒奈が体調を崩して抱きかかえたとき、ナオミと同じ香りがした」


京介さんが一瞬だけはっとしたような表情をしたのは、よく覚えている。
その前の夜に“ナオミ”ご用達の香水をつけたから、その香りがかすかに残っていたんだろう。
ということは、京介さんはたったふたつの要素で上川美緒奈がナオミだと気づいてしまったのか。

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