溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
今までそんなことは一度だってなかったのに。
手の届かない憧れの存在が、一夜にして手の届くところにきてしまったせいだ。
ただしそれは、偽りの自分を演じてこそ。
それが頭ではわかっていても、心は“ナオミ”と共有している。
そう簡単に切り離して考えられなかった。
「あれ? 上川さん、なんか感じが変わった気がする」
荒野くんが腰をかがめて私の顔を覗き込む。
「そ、そんなことないよ。なにも変わってないから」
咄嗟に一歩後退して俯いた。
今日はいつものすっぴんに眼鏡。
変わったところいったら、眉毛を整えたくらいだ。
「そうですか? なんかこざっぱりとした感じに見えますよ」
しつこくじろじろと見るものだから、そこから逃れようと私もノートパソコンを抱えた。
私も含めた企画部の部員八名が、隣の打ち合わせ室へ集結する。
ロの字型に配置されたテーブルにそれぞれ着いたところで、副社長が現れた。
顔を見て、私ひとりで大きく鼓動を弾ませる。