溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

生きている世界の違う副社長が、いつもどういったものを食べているのか知らないからだ。
さすがにラーメンや居酒屋が不正解なのはわかる。
無難にフレンチだとか答えればいいのか。
それともイタリアンか。
はたまた寿司か。

どれを口に出すべきか悩みに悩んでいると、副社長は「今日はノー会話デー?」と笑いながら言った。

なんのことだろうかと副社長の横顔を見る。
すると彼は「ひと言もしゃべらないから」と、ちょうど赤信号のタイミングで私を見た。
間近で目が合って、即座に心臓が反応する。


「……すみません。ちょっと緊張しちゃって」


咄嗟に俯いて、膝の上に置いた手を握りしめた。
ずっと黙っていたせいか声が少しかすれた。


「それは好意的にとらえてもいいのかな」


ハッとして副社長を見る。
すると、ハンドルの上部に片方の腕を乗せた体勢で、私をじっと見つめていた。

また答えに困る質問だ。
視線を外してだんまりを決め込んでいると、副社長は話題を切り替えた。


「お腹、減ってない? 俺はペコペコなんだけど」

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