溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

「そんなのわからない。ただ、この前のパーティーで会ったときからずっと、ナオミのことが頭から離れないんだ」


それは私も同じだった。
今まで副社長は遠いだけの存在で、憧れを抱くことはあっても、それ以上の感情は抱きようがなかった。
住んでいる世界が違うからだ。

ところがあの夜、副社長と一緒に過ごして、偽りの姿でも彼と同じステージに立ったことで、憧れの存在から一歩踏み出してしまった。
今こうして彼の腕に抱かれることで、さらに想いは膨らんでいく。

でも、ここで『私もです』と答えるわけにはいかない。
私は“ナオミ”ではないから。

今にも零れてしまいそうになる言葉は、奥歯をぐっと噛みしめて堪えた。

副社長が私をそっと引きはがす。
私を見つめる視線には息苦しさを覚えるほどだった。
うまく呼吸ができない。


「ごめん、急すぎたね。でも、必ずナオミを振り向かせるから。そのつもりでいて」


ゆっくりと彼の唇が近づいてくる。
全身が硬直して、顔を背けることはできなかった。


「今は俺のことを好きじゃなくていいから、せめて京介って呼んで」


唇が触れるか触れないかのところで、副社長が囁く。

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