17のとしに
「変わったしなあ。それぞれ。中学生の頃は今よりもイキってたっていうか。」
「な」
ただ、俺、初とリト…奈央はどこが変わったのかイマイチ分からない。同じ高校でずっと一緒にいるからだろうか。ますますもやもやしてしまったため、口を閉じた。
「あ、あと」
第1回目のビンゴゲームはちらほらと穴が空き景品を受け取る人もでてきた。喜びの声などにかき消されるそれぞれの声を必死に聞き取る。
「初、遅れたけど誕生日おめでとう」
慌てて見たヒロの表情は優しい、大人っぽい顔をしていた。じんわりと涙腺が緩くなる。
「ありがとう…」
「おう、何も用意できなくてごめんだけど」
「大丈夫」
絞り出した声でヒロはよかったと笑い、ビンゴゲームを始めた。

本当は誰かに祝われたかったんだろうか。そうだとしたら俺は全く素直じゃない。そんな自虐をしながら、ビンゴゲームを続ける。ビンゴゲームの結果はリトが8等を当て、不満げに帰った。
「また今度」
そういい、夏祭りは終わった。コンビニまで一緒だったリトもションボリとしながら、課題が終わらないことを危惧していた。
「今月の終わりには夏休みが終わってるとかしんどさしかないよー」
「まあまあ頑張ろ」
「まあね。楽しい思い出作れたし」
先ほどの緊張感は俺だけが感じたものだったのだろうか。恐らくそうだろう。リトはにこにこ気分よく笑みを浮かべた。
手持ち無沙汰な両手を、どうにかしたいものだなあなんて下心が顔を出す。

こうして、俺達の夏は終わっていった。
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